「お酒を飲むとほわーっといい気持ちになる人は気をつけたほうがいいでしょう。そのまま飲み続けると、アルコール依存症になりやすいといえます。また、酒豪といわれて、顔色は変わらずガンガン飲めるという人は、依存症になる前に肝臓や膵臓に問題が起こります」
自分がアルコール依存症かどうか、あるいはその危険性があるかどうかは、テストでチェックすることができます。これは、問題飲酒者数の推定に国内で多く使われているテストです。このテストによる2003年の調査では、重篤問題飲酒者は成人男性の7.1%、女性の1.2%、全体では3.9%、427万人に上ることが分かっています。
「アルコール依存症と判断する第一のポイントは、例えば糖尿病や膵臓の病気などで、節酒しなさいと言われてもできない、自分でお酒を飲むとまずいなと思っても、飲み方をコントロールできない、やめようと思ってもやめられない、つまり自分をコントロールできないという点です」と丸山氏。
そのほか問題点として重視されるポイントは、「ポカ休」といって、二日酔いなどで会社を休んでしまったり、大事な約束をすっぽかしたりすること。あるいは、事故を起こすこと。また、家庭では夫婦仲が悪くなって暴力をふるうようになることも判断の目安です。
「どうやって家まで帰ってきたのか思い出せないとか、飲んだときの記憶がないといったことを『ブラックアウト』と言いますが、これもアルコール依存症の診断ではとても重視されます。記憶がないという経験は多くの人が持っているようですが、それだけアルコール依存症の危険性は身近にあるということです」と丸山氏。思い当たることがある人は、要注意です。
よく聞くのは、「お酒が切れると手が震えるのがアルコール依存症だ」。そこで、「自分は手の震えがないから大丈夫」と得意になっている人もいます。しかし、毎日アルコールを飲んでいる人は、完全にアルコールが切れることがないため、手の震えやイライラ、寝つけないなどの離脱症状(禁断症状)が現れることはありません。
「完全にアルコールが切れるには、少なくとも2日続けて飲酒をやめる必要があります。2日以上たってから離脱症状の有無をチェックするのです。そうすると、小刻みに手が震えたりイライラしたりするなど、今まで気づかなかった離脱症状が出るものです」と丸山氏は言います。逆に、2日以上続けて飲酒をやめてみて、離脱症状がなければアルコール依存症ではないともいえるそうです。ぜひ、お試しください。