気象の影響で起きる病気は少なくありませんが、いずれも共通しているのは、気温、気圧、湿度が急激に変化するときが危険だということです。
これらの要素が同時に、しかも短時間で変化するのは、寒冷前線が通過するときと台風が通過する場合です。
多くの気象病は、気温が急に低下することによって起こります。
台風が通過するときは、気圧の変化は激しいものの、気温はあまり変化しません。
その意味で、最も注意が必要なのは、寒冷前線が通過するときだといえるでしょう。
寒冷前線は、暖かい空気の下に冷たい空気がもぐり込むような構造になっています。
狭い範囲に活発な雨雲があることから、天気は急に変化し、気温、気圧、湿度が短時間に急激に変化するのが特徴です。
これとは正反対に、温暖前線は冷たい空気の上に暖かい空気が乗りかかるような構造で、天気はゆっくり変化して、通過後は気温が上がります。
寒冷前線が通過するとき、最も著しく変化するのは気温です。
4~5℃低下することが多く、この急激な気温の低下が体に大きな影響を与えます。
そのため、気象病の大半が、寒冷前線が通過するときに悪化します。
また、寒冷前線が通過した後は、乾燥した冷たい空気が流れ込んでくるために、湿度が急に下がります。
空気も冷たいことから、呼吸器の持病がある場合は要注意です。
特に春先には、寒冷前線を伴った低気圧が発達しながら通過することが多いので、一層の注意が必要です。
一般に、気温が5℃下がると、衣服を1枚余分に羽織ったほうがよいといわれます。
「寒冷前線の通過が予想される」という気象情報があった場合は、着る物を1枚余分に持って出掛けたり、室内を加湿するなどの対策をおすすめします。