骨量が少ないほど、残った自分の歯が少ない傾向が 歯は主に歯肉(歯茎)と歯肉の中にある歯槽骨という骨に支えられています。
ところが、これらの歯周組織が歯周病菌に感染すると炎症が起こり(歯周炎)、悪化すると「歯の支え」が破壊され、歯を失うことになります。
一方、骨粗しょう症は骨密度の低下(骨量の減少)によって骨がスカスカになる病気であり、とくに高齢者では骨折から寝たきりになる大きな原因となっています。
女性ホルモンは骨量の減少を抑えているため、それが急激に減少する更年期以降の女性はとくに、骨粗しょう症予防が大切といえます。
愛知学院大学短期大学部の稲垣幸司教授らは、長年歯周病と骨粗しょう症の関係を調べています。
その一環として、愛知県下のある自治体の歯科健診受診者に協力してもらい、現在残っている自分の歯の数と、中指の骨量との関係を調査。
その結果、中指の骨量が正常だった人では、残っている歯の数が20本未満の人は10%もいませんでした(全歯28本中)。
それが、骨量が少なくなるにつれて20本未満の人が増加し、骨折の危険が心配されるまでに骨量が減少した人では30%前後にもなっていました。
また、同自治体の別年度の歯科健診では、歯周病の進行度がわかる歯肉の退縮程度や、歯と歯肉の間にできた溝(歯周ポケット)などと骨粗しょう症の関係を調べました。
すると、歯周ポケットが深いなど歯周炎が進行しているほど、「骨粗しょう症の疑いが強い」と診断される割合が高いという結果が得られました。